私の父は私が生まれて間もなく建築関係の事業を始めた。父は仕事がかなりよくでき、マルチに才能を発揮していた。現場作業から現場監督、設計に見積もり、デザイン、ありとあらゆることが一人でできる人だった。
父は父の友人から
「サラリーマンではもったいない。独立して起業しなよ」
結構数多くの人からそう言われた。父はその気になった。しかし父には独立して一人でやっていく能力はなかった。誰かに雇われてこそ能力を発揮する人だったのだ。
起業してすぐに事業はうまくいかなくなった。父は元々酒乱でお酒を飲むと暴言を吐いたり暴力をふるったりする。そんな中で事業がうまくいかないので、母に暴言暴力を振るうようになった。
夜中に父は怒鳴り、母に手を出し、母は私を連れて母方の祖父母の家に逃げていく。私がまだ2歳ぐらいだろうか。深夜に手を引かれて祖父母の家に一緒に言った記憶がわずかに残っている。
当時は壁の薄いアパートに住んでいたので近所にも聞こえていたと思う。母は身体中あざだらけだった。
そんな環境下で僕は幼少期を過ごした。僕が残っている当時の記憶は、先ほど書いた、母に手を引かれ祖父母の家に逃げること。父が怒鳴っている時にただひたすら泣いていること、あとは近所の友達と遊んでいた記憶も残っている。
近所の友達との思い出は、いいこともあり悪いこともありという感じだった。
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